恋仲となった私と君だが、また新たな試練が訪れたようだ。
まさか、魔術書の中に吸い込まれてしまうとは。
ここから抜け出すには、どうやら役になりきって、
物語を完結させるしかないらしい。
しかし『裸の王様』というのは、どんな内容だろうか？
……な、なにっ？　私に裸になれと、そう言うのか！？
いや、これも君のため……ならば喜んでありのままの姿となろう！

恋人同士の甘い時間を送っていたはずなのに、まさか『人魚姫』の魔導書に入ってしまうなんて。
泡になって消える運命の人魚姫……。
でも僕は決して、君を手放したりなんかしないよ。
当然さ、僕は君を誰よりも愛している。
それこそ、この身が泡となって消えてしまっても。

これは一体どういうことなんだ？
ひとけのない劇場……『オペラ座の怪人』の本の中に入り込んでしまったというのか？
しかも、目の前にいるお前は――
お前が『ファントム』だというなら、絶対にこいつを渡すわけにはいかない！
お前にだけは負けられないんだ……！

どうやら本の世界に入ったのは間違いだったかな。
『ハーメルンの笛吹』……この笛を使えばキミのことも操れて楽しいんだけど
まさかネズミ退治を任されるなんてねぇ。
あまり乗り気じゃないし、笛を吹いて
キミで遊ぼうかな。ねえ……いい表情見せてね？

本を読んで愛情について勉強しろ、だの
めんどくせーこと言われたせいだ。
『美女と野獣』の魔導書に吸い込まれるとか
ありえねぇぜ。ま、邪魔者もいねーことだし、
しばらくは城での暮らしを二人で満喫するか！
……ん？　なあ、オレ様の体、なんか変じゃねぇか……？

『不思議の国のアリス』……その魔導書に
吸い込まれてから、これで何度目でしょうね。
繰り返し繰り返し物語は終わり、そしてまた始まる。
けれど、必ずやここから脱出してみせましょう。
二度とあの結末を迎えないために――
お嬢様、決して一人にはいたしません。
ワタクシはアナタと共に歩んでいくと決めたのですから。