縁:
——うん、やっぱり似合う。そうだろうと思った。
香夜:
え、これ……。
思わず手を伸ばし、髪に触れていた。

そこには、縁さんの挿してくれた……
一本のかんざしが留まっていた。
香夜:
これって、さっきの翡翠の……。
縁:
そう。
香夜:
で、でも……。
縁:
……姫。
私が言おうとするのを遮り、
縁さんの顔が少しだけ近づく。
そのせいで、私は
なにも言えなくなってしまう。
縁:
さっきの着物は……確かにちょっと身勝手だった。
縁:
でもやっぱり、姫になにか持っていてほしかったんだ。
……俺からの贈り物を。
香夜:
……縁さん。
縁:
理由もなくもらえないとか、父上に怒られるとか、
いろいろあるかもしれないけど……。
縁:
……いつでも姫のそばにいたい。いられないなら、
いつでも俺のことを考えてほしい。
縁:
それも無理なら……。そのかんざしが、俺の気持ちだと思ってほしい。
縁:
……いつでも、姫のすぐ近くにいたいって。

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