鼓が口元を引き結び、柄を握り直した。
対する縁は上段、剣を大きく
頭の上に振り上げる構えを取る。
鼓:
上段に構えると、後の先で肩を打ち、
そこから諸手突きを狙ってくると聞く……。
鼓:
だが……貴様はそこまで駆け引きは得手でないようだ。
こちらの喉元ばかり見ているぞ?
縁:
く……っ!
鼓:
……来ぬのならこちらから行くぞ。
はぁ……っ!!
気合いとともに迫りくる刃は、
それでも、まだ相手が本腰ではないことを
物語っていた。
そこまでの殺気が感じられない。
どこか、縁の腕を試しているような気配がある。
鼓:
はぁ……っ!
縁:
ぐ……っ!
その動き、刃の噛み合う感触から、
縁には、すぐに相手が自分以上の
手練れであると知れた。

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