香夜:
放して下さい、螢さんっ。
螢:
酔っ払いひとりどうにかできずに
なにが武芸だ、馬鹿馬鹿しい。
香夜:
私は、酔って無防備な人間に
剣を向けたりしないわ。
そんなのはただの弱い者虐めよ!
螢:
なに寝言みてえなことを言ってやがる。
この江戸で、そんな太平楽なものの考えを
していたら泣きを見るぞ。
香夜:
縁さんは見ず知らずの人でもないし
それどころか、
東海道で知り合った仲間じゃない。
香夜:
声をかければ済むのに、
なにも後ろから蹴らなくたって……。
螢:
仲間……?
ハッ、冗談じゃねえ。
螢:
オレは、縁を仲間だと思ったことはない。
ただの一度もな。
香夜:
そんな……。
螢:
江戸の治安を守るのがオレの仕事だ。
悪い奴を成敗して、
何で説教されなきゃならねぇんだよ!
螢:
随分と姫様気分が抜けねぇ、わがまま女だ!
螢:
薙刀なんか女子供のお遊びなんだよ!
実戦経験もない薙刀と
オレの剣を一緒にするな!
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