手際よく手当てをすませると、
鈴懸は私に背中を向ける。

鈴懸:
はい。乗って。

香夜:
えっ……でも、まだ家まで結構あるし……。

鈴懸:
君一人おぶって行くくらい、平気だよ。
ほら、乗って。

香夜:
……ありがとう。

鈴懸:
よいしょ……っと。

香夜:
お、重くない?

鈴懸:
全然。むしろ軽いよ。

香夜:
(鈴懸の背中、あったかいな……)

私は後ろから、ぎゅっと鈴懸の首に抱きついた。