師範:
あなたのおかげで、こうして道場を
取り戻すことができました。
いくら礼を言っても足りません。
実彰:
先ほども言ったとおり、わたしは縁あって
香夜さんの助太刀をしただけだ。
どうか、気にしないでほしい。
香夜:
でも、嬉しいんです。
もう二度とこの道場でお稽古が
できないかもと思ってましたから!
先ほどの黒羽さんの剣技を思い出し、
今更ながら興奮してきた。
私だってこれでも、剣を手にする者だ。
あんな剣捌きを見せられたら
はしゃいでしまう。
黒羽さんは、やはり困ったように
笑いながら道場の看板を
元の位置に戻してくれたのだった。