九十九丸の愛刀は、ずっと
納屋にしまってあった。
九十九丸:
時々、振っていたし手入れもしていたから、
すぐにでも使えるはずだ。
そう言って剣を手にする。
感慨深げに、その握り心地を
確かめているようだった。
九十九丸:
お前と共に戦うのも、久しぶりだな。
語りかけると、応えるように
剣の鍔が月の光を反射する。
私はそっと、鞘に手を置いた。
香夜:
(お願いね、九十九丸を守って。)
呼びかけると、不思議と
身体の中に温かなものが
流れ込んでくる気がした。
香夜:
ねえ、九十九丸。……負けないでね。
九十九丸:
ああ、大丈夫さ。
俺の居合を信じてくれ。
私達は力強く頷き合った。