七不思議だった「トイレの花男さん」を名乗る大妖怪。
正体は「はじまりの妖怪」と呼ばれる書物の付喪神で、
たった一人で人間と妖怪を、何百年も見守ってきた。
普段は明るく茶目っ気のあるお兄さん。
その包容力ゆえ、貴女と喧嘩をしたことが一度もない。
一回くらい「この泥棒猫」とか言われてみたい。
ノリノリの小芝居で返すよ!
零・提灯の赤い糸
屋台にお神輿、おみくじ、提灯。
お祭りって、人と人でないものが混じり合う、特別な日なんだ。
そんな日くらい、妖怪も人間も仲良くやってほしいよね。
ねぇ、俺たちで結んでみないかい?
人がご縁と呼んでいる赤い糸を。
みんなが幸せになれる道を歩けるように。
七不思議「旧校舎の神隠し」を起こしていた鴉天狗。
悪戯好きで人間好き。何より恋人の貴女が大好き。
プロポーズまで済ませたが、あとは焦らず
貴女に合わせてステップアップしていく予定らしい。
超甘党の彼に、一番甘いものは何か聞くと、
たいてい貴女の名前が返ってくる。
ノロケでも自慢でもなく、無自覚だから恐ろしい。
壱・祭り会場の影
祭りって賑やかでいいよな。
はぐれないように手ぇ繋いでやるから、屋台ひやかそうぜ?
それに、なんでも夜な夜な祭り会場に
不気味な影が現れるって話だし……。
オマエがさらわれたら一大事だからな。
……その影は、ずっとずっと待ってるらしい。
姿をくらました愛する人を。
七不思議「メリーさんの校内放送」を起こしていた妖怪。
誰もが竦み上がる風貌だけれど、中身は恋するシャイボーイ。
現在、一目惚れした貴女と恋仲になり同居中。
幸せな毎日だけれど、そろそろ男らしくケジメを付けるべき?
と、ブライダル雑誌のWEBをよく見ている。
バレないよう履歴は毎回消している。
弐・無いはずのおみくじ
わたしは大凶でしたけど、先輩はさすがですねぇ。
おみくじで、恋文を引き当てるなんて。
呪いの手紙が、おみくじに混ざっている……。
なんて怪談があるんですが、まさにこれですよね。
でも、どうしましょう、これを引いてから……。
誰かの視線を、感じるんです。
七不思議「十三階段の悪夢」を起こしていた獏(バク)。
獏一族の長にして、最後の生き残りだった。
今は新しく生まれた後輩の面倒をせっせと見ている。
自称・性悪だが根は優しく、お気に入りは貴女の寝顔。
近頃、一族の復興を夢見てもいいかなと
少しだけ将来を考え始めた。
参・鳴らない横笛
「梅雨の祭礼」で奉納される神楽舞。
まさか君が、舞を踊る巫女になるなんてね。
稽古の様子も心配だけど、もう一つ気になることがあるんだ。
使われなくなった横笛が化けて出るって怪談。
それを起こす妖怪が目の前にいるって事実。
そしてその彼が……バクだってこと。
七不思議「体育館の遠吠え」を起こしていた狗神。
人を呪うための道具として使役されてきた妖怪。
貴女に拾われてから、本来の無邪気さを取り戻したが
執着と独占欲は変わらず。
その想いは貴女だけに注がれることに。
明るいスポーツ青年の顔で祟りを起こす彼なので、
手綱はしっかり握るべし!
四・古びた神輿
使われなくなったものって捨てられるよな?
捨てられたそいつは、なにを思うんだろうな……。
数年前に処分されたお神輿が、妖怪となって蘇った。
けど、なんか変な話になってんだよ。
近所のちびっこい女の子がさ。
そいつのこと、好きになっちまったんだって。
七不思議「保健室のかなしばり」を起こしていた八岐大蛇。
かつては、この町の土地神だった。
人間によって歪められた悲しい過去を持つ。
が、彼が執拗に貴女を絡め取るのは、
ただの性格なので気をつけて。
貴女と将来を誓い合ってからは、とりわけ
本能に従順になっちゃったので気をつけて。
伍・縁切り神社
祭りの日だけ、その神社は「縁切り神社」になるという。
その噂を聞いて、とある人間の女性がやってきた。
でも悲しいね。彼と別れる理由が――
「妖怪と人間じゃ幸せになれないから」なんて。
その願い、叶えてあげるわけにはいかないな。
オレたちで力になってあげようか?
七不思議「ピアノがひとりでに鳴る音楽室」を起こしていた猫又。
彼の正体は友人たちにも知られている。
もちろん、貴女と付き合っているのも、周知の事実。
そろそろボクたちも夫婦になろっか! と意気込んでいたが、
新婚旅行の行き先に温泉宿を提案されると、
急に尻尾と耳が垂れた。水が嫌いらしい。
足湯くらいは今年中に克服したい。
六・夜中の金魚すくい
キミと屋台を覗くのって、やっぱり楽しいね。
友達とも遊べるし、お祭りっていいなあ。
ただ、夜中に金魚が宙を浮くって怪談……。
あれを起こしてるムカつく妖怪が、
急に態度を変えて言ってきたんだ。
ボクらの友達に……彼女に恋しちゃったって!
七不思議「理科室の鬼火」を起こしていた妖狐。
かつて蛇神の手伝いをしていたが、
本来は悪さをする野狐(やこ)。
眼光鋭く口調も荒っぽい。つまりはツンデレである。
嫁さんである貴女と、ちゃんとした祝言を挙げるのが目標。
その次の目標が所帯を持って、子供を育てて。
とここまで考えて恥ずかしくなってやめた。
七・はずれないお面
提灯あかりが綺麗なもんだ。
この景色を何年先も見ていきたいよな。
なあ、もし俺が妖怪だと隠したまま、
何十年も恋をして……その末にバレたら。
オマエなら、俺を拒絶するか?
……そういうヤツがいるんだよ。
その恋は、もう取り戻せねぇのか……?
七不思議だった「トイレの花男さん」を名乗る大妖怪。
正体は「はじまりの妖怪」と呼ばれる書物の付喪神で、
たった一人で人間と妖怪を、何百年も見守ってきた。
普段は明るく茶目っ気のあるお兄さん。
その包容力ゆえ、貴女と喧嘩をしたことが一度もない。
一回くらい「この泥棒猫」とか言われてみたい。
ノリノリの小芝居で返すよ!
零・提灯の赤い糸
屋台にお神輿、おみくじ、提灯。
お祭りって、人と人でないものが混じり合う、特別な日なんだ。
そんな日くらい、妖怪も人間も仲良くやってほしいよね。
ねぇ、俺たちで結んでみないかい?
人がご縁と呼んでいる赤い糸を。
みんなが幸せになれる道を歩けるように。