それは帝國スタア達の弐月拾四日(ばれんたいん)――
2015年2月14日 20:17
それは帝國スタア達の弐月拾四日(ばれんたいん)――
ようこそ、「大帝國劇場」へ!
Rejetのニシオカと申します。
昨年と打ってかわり、晴れ模様のようですね。
ハッピーバレンタイン
さて、ところで続編となります
大正偶像浪漫「帝國スタア」 キネマトグラフですが、
舞台となりますのは大正も末期、1925年でございます。
この時にはすでに日本にチョコレートは普及しており、
値段こそははるものの、庶民にも何とか手の出せる
お菓子となっておりました。
もとは滋養を目的としたものだったとか。
チョコそのものの効果の事実はどうあれ、
確かに疲れているときには甘いものが欲しくなるというもの。
大帝國劇場の売店では果たして取り扱っていたのでしょうか?
個人的にはとても知りたいところです。
心優しきオーナーのことです。
お疲れの帝國スタアがいれば、
どうぞと彼らに手渡しているに違いありません。
なんだ、チョコレート?
オレに? 安いものじゃないだろう。
しかし、ただ食べるだけではつまらんな。
そうだ、お前も食べさせてやろう。
……何をしている? 「食べさせてやる」と言ったんだ。
呆けていないで、口を開けろ。
チョコレート?
知ってるだろ? 僕は甘いものが―
いや、今のは忘れてくれ。頂くよ。
……別に無理なんかしてないぜ?
他の誰かならともかく……
キミからの贈り物を断れるわけないだろ?
甘いものなら好きだよ。それがなに?
これを俺にくれるわけ? ……疲れてそう、って。
はぁ……それを言うなら、
オーナーのアンタの方が大変なんじゃないの?
……ありがとう。
チョコレートを食べろと?
それは命令ですか?
それとも、ただのお願いでしょうか。
……冗談です。
ありがとうございます、オーナー。
ああ、これか知っているよ。
もとは苦い飲み物だったんだろう?
それが今は甘いお菓子として売っている。
不思議だねえ。
ところで、おまえ自身は口にしたことがあるのかい?
……それなら、ほら、一緒に食べてみないか?
なんだよ、チョコレート?
今の劇場はそんなものも置いてるのか?
余計なお世話だな、お前なんかから
気遣ってもらうのは心外だ。
待てよ……いらないとは、言っていないだろう?
デレデレじゃねえか。
しかしまあ、デレつつも
誰も彼もが素直ではないのはやはり
帝國スタアとでもいいましょうか。
さてさて、短くはありますが
本日はこれにて仕舞です。
次回更新は遠からず。
時は大正――
戦後、暗い影を落とす帝都を照らす、儚い光。
そんな「光(スタア)」で有り続けた偶像(あいどる)たちとの貴女の物語。